再注目されるべきHRMの良書
人材戦略(HRM)について書かれた本の中では、きわめて高質な良書といえる。
出版年は1990年とやや古いが、色あせていない。
インフロー(採用段階)、インターナルフロー(内部での昇格や配転)、
アウトフロー(解雇段階)という「ヒューマンリソースフロー」のマネジメントは、
切り口が鮮やかでHRMの全体像を捉えるときの参考になる。
また「報償システム」の章、「職務システム」の章も、幅広い論点をきちんとカバー
した上で独自の考え方が整理されており、大変参考になる。
ハーバードの学生用テキストであることにとどまらず、実務家でも十分に
考えさせられる内容を持っています。
HRMのバイブル
ハーバードで始めて人的資源管理(HRM: Human Resources Mgt.) という科目が基礎科目として採用された元の書籍。 人と組織の領域では、モチベーションやリーダーシップなどを 扱う組織行動学がMBAの基礎科目に入っていたが、それまで 昇進制度や報酬制度、教育制度、退職管理制度など魂の入って いない『箱』として個別の制度を集めた管理と捉えられていた。つまり、それらの個別制度を扱う"人材管理(Personnel Mgt.)"は マネジメントの1ツールとして使われる傾向があった。 それを、HRMこそ組織行動というソフトな部分とセットで 人と組織の領域を体系化し、経営に生かしていく重要性を 説いた最初の書。特に、経営戦略に基づいた決定のもと人、モノ、 金の中で唯一感情を持ち、残りのモノと金も扱う主役である 人とその集合である組織のマネジメントこそ、従来の人事部 といった管理部門ではなく、すべてのラインマネージャーこそが 日々の仕事とともにHRのマネジメントを理解し、実践する必要が あると説いている。 その後,人は"資源"ではなくて"資本"だ(苦笑)などと いう学者達が現れ、HRMからHuman Capital Mgt.へ転換・・・などと いわれることもあったが、経営と密接につながりを 持った人・組織の重要性を説いたのは出版から30年以上 経っても未だ色あせない本書である。 そこらじゅうに溢れる流行本やノウハウ集を読むのであれば、 本書を3回くらい読んで、それぞれの言葉が意味する具体的な 示唆を自分の頭で現場に落とし込んでいくのに時間を活用 したほうが何倍も良い。 ちなみに、原題は"Managing Human Assets"。 原書も易しい英語なので、是非トライして欲しい。
日本生産性本部
ヒューマン・リソース・マネジメント―経営戦略・企業文化・組織構造からのアプローチ 組織行動のマネジメント―入門から実践へ HRM(人的資源管理)とは何か―歴史・理論・実証からのアプローチ コンピテンシー・マネジメントの展開―導入・構築・活用 ヒューマン・キャピタル・マネジメント―アーサーアンダーセンの提唱する組織・人材戦略
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